Atomic Heart(アトミックハート)

XBOX

プレーしたゲーム機

XBOX Series S
XBOX GAME PASS内のゲーム(2023年5月現在)

ストーリー

 舞台は架空のソ連。ロボット技術が発展し、さまざまなところにその手が及んでいて、もはやロボットなしでは生活を維持できないほどに依存しきっている。
 そんな中、主人公であるKGB特別捜査官ナチェフ少佐(通称P-3)は、空中都市チェロメに召喚される。国家の科学技術を先導するサチノフ博士から任務を拝命したのだ。
 内容は、ある人物の確保命令。
 その男は国家の敵だ。ロボットに指令を出すネットワークをハッキングし、人間を襲わせている。
 恩人である博士に、そして国家に報いるため、P-3は会話可能なAI(通称チャー・ルズ)を搭載したパワーグローブとともに任務へと赴く。

ゲーム概要

 FPS。プレーヤーはP-3の両腕だけが見える視点でゲームを進めることになる。
 戦い方は近接と銃、そしてパワーグローブを使ったサイキック的な攻撃もある。

  1. 近接戦闘
    斧や鉈のような武器で殴る。弱攻撃、強攻撃がある。
    溜めが必要だが特殊攻撃を出すこともできる。
  2. 銃撃
    ハンドガン、ショットガン、アサルトライフル、グレネードなどの実弾武器と
    電気を使った銃がある。電気銃は特殊攻撃あり。 
  3. SHOK
    パワーグローブから放たれる電撃。
  4. スキル
    パワーグローブを使用して相手をテレキネシスのように持ち上げたり
    バリアを張ることもできる。 

 このゲームの何が良いかというと、一番はその世界観にある。
 ディストピアへようこそ!と直球で言われているようなオープニングから一転して戦場に赴くと、殺伐とした世界がそこには広がっている。
 もはや首都以外に人間などいない。大体がロボットに殺され、無残に死体をさらしている。
 ソ連が舞台ということで現実世界において発売までにいろいろあったようだが、それでもリリースされたのは、ひとえにこのディストピア感が伝わったからだろうと思う。要するに、あの国のことを良くは言っていない、ということだ。

 それから特筆すべき世界観として、「ポリマー」という概念がある。
 劇中では透明なゼリーのような形で見ることができ、その中を泳いだりもできるが、これが画期的な技術で、人体と機械を融合させて革新を促すものらしい。
 実際にP-3のパワーグローブもポリマーの力を駆使してエスパーのようなことをやってのける。まあ理論はともかく、なんだかすごい技術だというくらいの認識でいいと思う。

 P-3は任務を与えられ戦っていく中で、さまざまな人に出会う。
 こうした作品によくある、「自分が信じて従っていたものに疑念を抱く」という展開になっていく。
 P-3自身が抱える過去のトラウマ、人類と機械の統合ネットワーク「コレクティヴ2.0」の行方、サチノフ博士の思惑、反乱勢力の動機。さまざまな要素をはらみながら話は結末へと向かっていく。

 ……はずだったのだが。
 なんだか尻切れトンボのような終わり方になってしまったことは否めない。
 私はなんの予備知識もなくプレーして普通にゲームをクリアした。そして水準以上に楽しかったのでこうしてレビューをブログに書いているのだが、このゲームは発売延期などもあって、本来は実装予定だった要素がいくらか削られているのではないかと思われる。
 オープニングを見直してみると空中都市もたくさんあるのに、歩けるのはチェロメぐらいだ。さまざまな特徴のある空中都市を移動しながら戦えれば面白かったのに。
 予算の都合か、コロナ禍があったから制作日程がおかしくなったか。
 同情の余地はあるが、いかんせん出してしまったもので評価されるのが世の常だ。
 幸いなことに現時点で追加コンテンツの発表がある(2023年5月現在)。
 それが出たらきっとまたプレーするだろう。そのくらい魅力がある世界観だ。このまま終わってしまうのはもったいない。

良かった点

  • 【世界観】
    「Fallout」シリーズや「BioShock」シリーズが好きな人には強く勧める。
    ディストピア感は同等。
    いや、あの国がベースにあるということで胡散臭さだけなら上記2作より上かもしれない。
  • 【武器をいろいろ試しやすい】
    武器や能力のアップグレードをキャンセルでき
    レベルアップに費やしたアイテム、ポイントがそのまま返ってくる。
    この武器を強くしてみたけどやっぱりやめた、ほかの武器にしようという行動をしやすい。
  • 【音楽】
    民族音楽というべきなのか、アメリカでいうカントリー音楽のような曲が中心。
    日本の演歌に近い感じの曲もある。
    全体的にのんびりしている。それがまたディストピア感を掻き立てる。
    しかしラストに近い場所では一変して、その民族音楽をベースにしたメタル調の曲になり気持ちを盛り上げてくれる。
    個人的にはアップグレード画面の音楽が好き。
  • 【アップグレード集めが楽しい】
    これは人によるかもしれないが……。
    マップには、寄らなくてもいい実験場が多数あり
    そこに武器のアップグレードパーツがある。その回収作業が楽しかった。
  • 【P-3とチャー・ルズの会話が楽しい】
    主人公と、その左手に着けられているパワーグローブ内のAI、チャー・ルズの会話。
    それぞれの視点で忌憚なく会話が交わされていて、その軽快さが面白い。 
  • 【演出が独特で良い】
    やはりアメリカのそれとは違うセンスを感じる。
    開発チームはキプロスの会社。特に劇場で重要人物が死ぬシーンなんかが好きだ。残酷だけど。
  • 【美術字幕の存在】
    壁に貼られているポスターやモニュメントの文章は当然ロシア語で書かれているが
    それらも目の前で焦点を合わせれば字幕を入れてくれる(例外はあるかもしれない)。
    細かいことだが、より没入感を与えてくれる良い要素だ。
  • 【日本語音声が入って、より快適に】
    私はアップグレード前の英語音声の状態でクリアしたが
    レビューを書くにあたり、オープニングから最初のセーブポイントまで日本語音声で見直した。
    臨場感が増すし、固有名詞も覚えやすくなった。
    そして戦闘中の会話も字幕に目をやることなくスッと頭に入ってくるのはとても良い。

悪かった点

  • 【ちゃんと終わらせてくれ】
    これを最も強く思った。あの終わり方は……ちょっとないだろう。
    「お前が黒幕かよ!」という意外性はあったが。
    一応エンディングは2種類の分岐がある。が、どちらも納得いく内容ではなかった。
  • 【敵の処理の仕方】
    室内で戦う場合、敵は基本的に復活しない。警報を受けると湧いてくる敵はいるが。
    ただ室外の場合、修理ロボットがせっかく倒した敵ロボットを直してしまう。
    そしてまた襲われる。一度倒した敵を倒しても戦利品は再ドロップしない。
    敵の再生を止める方法もあるにはあるが、あまり本編で説明がなかった。
    ストーリー上で一度、それをプレーヤーにやらせてみる必要があったのではと思う。
  • 【パズルゲー】
    実験場ではパワーグローブの電気を発する能力を使って磁場を変え、パズルゲームのように足場を確保して進む場面が多い。
    というか、それがほとんどだ。
    ずっとガッシャンガッシャンいわせながらジャンプしたりよじ登ったりを繰り返す作業は飽きてしまうかもしれない。
  • 【戦闘中のQTE】
    戦闘中に突然、特定のボタンを押すことを求められる。
    ただ押せばいいものと、連打するもの、長押しするものがある。
    大抵は失敗すると死亡する。個人的にこの要素は好きではない。
  • 【マステレキネシス強すぎ】
    パワーグローブのスキルで
    マステレキネシスというサイコキネシスのような能力がある。
    周囲の相手を強制的に浮かせて、落とす。それだけでかなりのダメージが入る。
    これが強い。ボスにも通じる。
    いろいろ攻撃方法が用意されてはいるが
    スキルに関しては、私はこれだけでほぼ本編を乗り切った。
    そのくらい便利だが、ゲームとしてはそれでいいのかと思う。

感想

 難易度「ローカル障害(実質ノーマル)」でクリア。
 いろいろ言ってしまったが、面白い。
 もし制作陣が考える理想の形でリリースされていたら、2023年のベストに挙げていたかもしれない。
 何度も言っているように終わり方が悪いのは欠点だ。
 しかし、そこまでに体験した物語や戦いは独特で鮮烈だった。
 願わくば、P-3の物語の本当の終わりを見たい。
 それがハッピーエンドでなくても構わない。
 この狂った世界の中で彼がどう生きたか、ぜひそれを知りたいのだ。


 
 

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